今週の提言(2月3日号)
第4回 今週の提言(2月3日号)
後継者がいない会社ほど、実は選択肢が多い
――「いない=詰み」と思った瞬間に、経営は止まる
「後継者がいないんです」
この言葉を聞くたびに、社長の表情が少し曇るのを感じます。
多くの場合、その言葉の裏には、
「だから、事業承継の話は進められない」
「結局、打つ手がない」
という諦めに近い感情があります。
しかし、私ははっきり申し上げます。
後継者がいないこと自体が、問題なのではありません。
本当の問題は、
「後継者がいない=選択肢がない」と思い込んでしまうことです。
実は、後継者が決まっていない会社ほど、
経営の選択肢は広がります。
なぜなら、「誰に継がせるか」に縛られず、
会社の将来像から逆算して承継の形を考えられるからです。
親族内承継が前提になると、
どうしても制約が増えます。
・本当に経営を任せられるのか
・株式をどう分けるのか
・家族関係にしこりを残さないか
これらを考慮するあまり、
「現状を変えない」という判断に寄ってしまうケースも少なくありません。
一方で、後継者が決まっていない会社はどうでしょうか。
社内の幹部社員に承継する選択肢
外部の経営人材を迎える選択肢
第三者承継(M&A)によって、会社をさらに伸ばす選択肢
こうした可能性を、フラットに比較検討できる立場にあります。
ここで重要なのは、
「誰に継がせるか」を先に決めないことです。
まず考えるべきは、
・この会社を、今後どう成長させたいのか
・どんな経営体制が最も適しているのか
・そのために、どんな資本構成が望ましいのか
つまり、経営戦略が先、承継手段は後なのです。
実際、私が関わってきた現場でも、
「後継者がいない」と悩んでいた会社が、
承継をきっかけに事業領域を広げ、
以前よりも強い会社に生まれ変わった例は少なくありません。
逆に、
「後継者がいないから」と何もせず、
時間だけが過ぎてしまった会社は、
気づいたときには選べる道が極端に少なくなっています。
後継者問題は、時間が解決してくれることはありません。
むしろ、時間は確実に選択肢を奪っていきます。
だからこそ、
後継者がいない今こそが、考えるべきタイミングです。
事業承継とは、
誰かに“譲る”話ではありません。
会社の未来をどう設計するか、という経営判断です。
後継者がいない。
だからこそ、自由に描ける未来があります。
次回は、
「株を渡す順番を間違えると、なぜ会社は壊れるのか」
――株主構成と経営の関係について、さらに踏み込みます

